抑々当寺清水山金覚寺は、金勝寺第4世住職の弟教寿によって延宝9年(1681)に開基されて以来、連綿とつづいて来た祖聖法堂の場として、門信徒一同、合掌・念仏してまいりました。現寺建立以来、130年余り経過した金覚寺を、昭和44年4月、第12世住職は27歳で継職しました。代々たくさんの人々が、この法灯を消さないために修理をし、守ってこられた歴史あるお寺の住職として、いかに護持し、真の聞法の道場として、ご門徒の心のよりどころとするべきか、肩にずっしり重く責任がのしかかりました。 しかし、お念仏にいかされる、門信徒の皆様の、力強いご支援により、本堂の屋根替えにはじまり、数々の修理修復を重ねながら大切に護持され、たくさんの門信徒がお参り下さっております。 その本堂に、この度、夏休み子ども研修会・20周年を記念し、両余間・両狭屋の間の天井画が完成しました。 関係者各位の皆様方の、ご支援・ご協力の賜物と、深く感謝申し上げます。 この機会をご縁に同じ喜びを分かち合う御同朋・御同行がより増えますことを念じ、あすからの新たなる、一歩を期待します。 合 掌 金覚寺第12世住職 大岡周賢

「たくさんの人々に描いてもらって、仏さまの天井に荘厳できたら、すばらしいな!」 こんな念いを30年余り、坊守として持っておりました。 (いのち)の大切さを、夏休み子ども研修会で常に話をいたしておりますが、今の世の中、心の痛むことの多い時代です。 阿弥陀如来さまの、大きなみ手の中にある私たち一人ひとりが自らのl(いのち)の大切さ・尊さに気づかされることによって、他の人の(いのち)もより尊い存在になってまいります。 み仏さまのもとに自分の絵があり、また有縁の方々の絵があることによって『気軽にお寺に来てほしい・心安らかに和むことができたら』と、このような希望もあって、ちょうど今年で子ども研修会が20周年を迎える記念に新しい天井画制作となりました。 準備・制作にあたり、福井県の御住職鳥羽正和様のご指導を賜りました。 三か月の赤ちゃんから、最高83歳と、幅広い年齢層の方々に申し込みをいただきました。 裏の書院で夏休みに、子供たちから、地区ごとに描きましたが、幼いお子さんの場合には、ご家族の皆様が共において下さい、一枚の白い板を前に何かと話し合いながら、温かい雰囲気のところ、何を描こうかなかなか決まらない親子と、様々な光景のうちに、一枚一枚心和む絵が仕上がっていきました。 向き合っていくうちに気づかされたことは、子どもは自分の意見をしっかり持っています。描こうとする物、色合い等この部分を大切にしました。 永い間、筆を持ったことがないと言われた方にも、お箸が持てたら大丈夫、描けるからと協力を促し、大人の方には花を、大半の方にお願いしました。 絵と向き合う日が続き、最後の一枚は、翌年の3月に描きあがりました。 おかげさまで、仏さまのまわりを荘厳する、すばらしい力作揃いです。画の一枚一枚の裏には描いた方の名前を明記しております。 私の生涯において、最も多忙ななかにも充実した月日であり、この取り組みによって、言い尽くせない程の幸せを感じております。と同時に、ご協力いただいた皆様にとりましても(よかった)と念っていただければ、私共の喜びでもあります。 年月がたっても心温まる画が、この土地で生活する人達にとって心の支えとなり、励みになりますこと、念願いたします。 自治会長様には、平素より護持発展のためにご支援賜り今回も力強い支えとなって下さいました。 金覚寺委員会・仏教壮年会・仏教婦人会の皆様には今回の制作にも深くご理解いただき、古い天井画を取り除くための養生・取除き・大掃除と、日曜日ごとにほこりまみれの作業も、献身的に動いて下さい、誠にありがとうございます。 最後になりましたが、7月に始めてから、完成慶讃法要までの長期にわたり、仏教婦人会の役員様には暖かい励ましと、絶大なお力添えを賜りましたこと、心より感謝申し上げます。 限りなき光と寿(いのち)の親である如来さまは、親がわが子供を持つような念いでいつも、あたたかいご慈愛ご慈悲をもってお待ち受け下さっております。 合 掌 金覚寺第12世坊守 大岡加代子

平成15年7月24日 描き始め 平成16年3月10日 本願寺新報に掲載 平成16年4月18日 旧天井板取り外し 平成16年4月25日 天井画取り付け 平成16年5月16日 天井画完成慶讃法要

描いた人数 231名 天井画総数 264枚